DEPARTURE



[レビュー] アルスエレクトロニカ・レポート 1 今年のテーマ

September 16th, 2011 Published in レビュー&コラム  |  7 Comments

photo by tarowo

世界から注目を集めるメディアアートの祭典、アルスエレクトロニカ・フェスティバルが8月31日から9月6日までオーストリアのリンツで開催されました。Departureでは、数回にわたってこのフェスティバルの様子をご紹介します。このフェスティバルでは、最新のテクノロジーや科学の動向を取り入れたメディアアートや、これからのアートを捉える上での様々なアイディアが多角的かつ積極的に紹介されるため、毎年、世界中のメディアアート関係者がこのフェスティバルに集います。そのため、展示やシンポジウムが開催される機会というだけでなく、人と人とを結びつける大きなコミュニティとして、大変重要な機能を果たしていると言えます。とは言っても、専門家だけが集まる閉鎖感はなく、広く市民に開かれた参加型のフェスティバルですので、この期間中には、市内各所で多くのイベントが開催されます。今年は、歴代2位となる83,976人の来場者を記録したことが公式発表されました。ちなみに1位は昨年の90,227人で、今年とは異なり、市内で広大な敷地を持つ旧タバコ工場が会場となり展示やイベントが集結していましたが、今年は例年通り市内にある複数の主要会場を中心にフェスティバルが開催されました。

1979年から始まったアルスエレクトロニカ・フェスティバルは、1987年よりテーマが毎年発表されています。このテーマが、開催されるイベントや展示内容、シンポジウムの方向性を示すことになり、フェスティバルを盛り上げていくメインビジュアルと合わせて発表されるため、注目が集まります。

今年のテーマは、「origin-how it all begins」 。私たちはどこから来たのか、何から始まったのか?その壮大な問いを掲げたのは、アルスエレクトロニカがスイス・ジュネーブにあるCERNという世界最大規模の素粒子物理学研究機関との長期にわたるコラボレーションが決定したことに繋がっています。CERNは、全ての始まりthe origin、宇宙の始まりを研究しています。そのコラボレーションにより、粒子の衝突が視覚化されたイメージが今回のフェスティバルのモチーフとなりました。その始まりと、世界的な研究機関でありながら、一般には知られていない最新の研究内容や内部の様子が今回のフェスティバルを通じて紹介されます。

Visualization by Joao Pequenao, Atlas Experiment © 2011 CERN

また、このテーマの発表に合わせて「CREATE YOUR WORLD」が発表されました。アルスエレクトロニカのコンテスト部門であるプリ・アルスエレクトロニカでは、これまでもU19カテゴリーで、若手作家による作品やプロジェクトを紹介してきましたが、今年からは、若い人々が作るフェスティバルをはじめることも発表されました。「CREATE YOUR WORLD」の拠点となったのが、アルスエレクトロニカ・センターとドナウ川沿い周辺エリア「アルスエレクトロニカ・クオーター」です。

photo by tarowo

この場所では、初日となる8月31日に華やかなオープニングが行われました。次回はその様子とアルスエレクトロニカ・センターをご紹介します。

《アルスエレクトロニカ・レポート》

1.今年のテーマ「origin-how it all begins」

2.オープニング(8月31日)とアルスエレクトロニカ・センター

3.受賞式典「GALA」(9月2日)

4.コンサート(9月4日)

5.サイバーアーツ展

6.  ふたつのキャンパス展

7.市内各所のイベント

8.まとめ

 

 




アーカイブ