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世界最大のショート・フィルム・フェスティバルTROPFEST

May 24th, 2013 Published in 世界のフェスティバル

毎年、オーストラリア・シドニーで開催されているTROPFEST(トロップフェスト)という世界最大のショート・フィルム・フェスティバルをご存知だろうか。

オペラハウスにほど近いRoyal Botanic Gardens内にある「ザ・ドメイン」という広々とした公園をメイン会場としつつ、国内各都市にある特設会場への同時中継や、地上波SBSチャンネルの放映を通して、約15万人もの人々が楽しめるフェスティバルだ。観客は無料でフェスティバルに参加することができ、ショート・フィルムの上映をはじめ、フードやドリンクとともにライブイベントをピクニッック気分で観覧し、1日中のんびり過ごすスタイルが定着している。

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TROPFEST(シドニー)会場の様子

 

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TROPFEST(シドニー)会場の様子

そして今回、5月13日(月)には、このフェスティバルに参加した作品を上映するイベントTROPFEST IN JAPANがオーストラリア大使館(港区三田)で開催された。館の敷地内にある芝生の庭を会場に、TROPFESTの雰囲気を味わうことができる趣向のもとで作品が上映され、オーストラリアのワインや食べ物も振る舞われた。

オープニング・セレモニーでは、今回の主催者である駐日オーストラリア大使のブルース・ミラー氏によるウェルカムスピーチでイベントがスタート。続いて、このイベントのために来日したTROPFESTのマネージング・ディレクターMichael Laverty氏がフェスティバルを紹介し、参加作品が上映された。笑いあり、涙あり、感動ありの様々なバリエーションをもつ6作品からなる特別プログラムは、芝生の上でリラックスした来場者を楽しませていた。

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TROPFEST IN JAPAN 会場の様子

当日、イベント会場においてMichael Laverty氏にインタビューをしてフェスティバルの魅力を伺ったので詳しく紹介しよう。

Q.このフェスティバルが始まったきっかけは何ですか?

TROPFESTが始まったのは今からちょうど20年前の1993年のことです。映画監督で俳優のJohn Polson(ジョン・ポルソン)氏が、シドニーにあるカフェ(Tropicana Cafe)で友達と楽しむ目的ではじまったのがきっかけでした。毎年シドニーで開催してきましたが、海外でも開催されるようになり、今ではニューヨーク、アブダビ、東南アジア、ニュージーランドなどでも開催されて、さらに拡大しています。

Q.フェスティバルへの作品の応募条件は何ですか?

応募条件はたった3つです。1つ目は、「7分間以内の作品であること」、2つ目は「これまで一般向けに公開されていない作品であること」、そして3つ目は「TSI(TROPFEST Signature Item)を作品の中にどんな形でもいいので加えること」です。TSIというのは、毎年決められるテーマのようなものです。ちなみに次回のTSIは「CHANGE」です。このような応募条件によって、TROPFESTのために作品を応募するというモチベーションと、フェスティバルへの参加感を高めています。そしてそれがフェスティバルとしてのブランディングにつながっていくと考えています。

Q.応募するジャンルの制限はありますか?

ジャンルの制限はまったくありません。さっきお話した3つの応募条件さえクリアしていれば、どのような作品でも応募することができます。実写でもアニメーションでも大歓迎です。特に日本では個人で制作するアニメーション作家が多いと聞いています。そうした方々にもぜひ応募して欲しいと思っています。また、応募期間を特に設けている訳ではないので、いつでも作品を応募できる仕組みになっています。

Q.選定はどのように行なわれますか?

毎年700以上の作品がエントリーされますが、まずその中からTROPFEST当日に上映される16作品のファイナリストが選ばれます。そして、受賞作品は、映画業界の著名人の投票によってフェスティバル当日の会場で選ばれます。過去の選考員には、ニコール・キッドマン、ケイト・ブランシェット、ナオミ・ワッツ、ラッセル・クロウ、ジョン・ウー、サミュエル・L・ジャクソン、キアヌ・リーヴスなどが名を連ねています。

Q.どのような賞がありますか?

優秀な作品に与えられる賞は全部で5つあります。まずは作品に与えられる賞として、1st Prize(一等賞)、2nd Prize(二等賞)、3rd Prize(三等賞)の3つの賞と、俳優に与えられる最優秀男優賞、最優秀女優賞の2つの賞の合計5つです。2013年の1st Prize受賞作品には、賞金10,000ドル、ロサンゼルス旅行(映画業界の関係者との会合含む)、自動車やカメラといった数々の副賞とともに、その後の映画・テレビ業界での成功の鍵を手にすることが出来ます。また、次世代の映画製作の担い手を輩出するために、15歳以下の子どもたちを対象にした「TROP JR」(トロップ・ジュニア)を6年前から開催しています。応募条件は同じですが、TSIは大人とは別のものが提示されて、毎年優れた作品が誕生しています。

Michael Laverty氏

次回のオーストラリア開催は、メイン会場をこれまでのザ・ドメインからCentennial Parkに移し、12月8日の開催を予定している。ご存知の通り、南半球に位置するオーストラリアの季節は日本と正反対なので、夏真っ盛りの12月に屋外で開催される一大イベントだ。今回オーストラリア大使館で開催されたイベントをきっかけに、TROPFESTが日本を会場として開催される日を楽しみにしたい。

参照URL:TROPFEST  http://tropfest.com/au/

<TROPFEST IN JAPAN>
2013年5月13日(火)
主催:オーストラリア大使館
制作:株式会社AMATELAS
上映作品
“Let It Rain” 監督:Matt Hardie (2013年)
“My Constellation” 監督:Toby Morris(2012年)
“Suburban Samurai” 監督:Craig Behenna(2012年)
“Bargain!” 監督・プロデューサー:Rachel Givney(2009年)
“Photo Booth” 監督:Michael Noonan (2012年)
“We’ve All Been There” 監督:Nicholas Clifford (2013年)

取材協力:オーストラリア大使館  http://australia.or.jp/culture/




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