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[Works] 写真・映像・詩 – レジデンスアーティスト Lea Titz

June 15th, 2013 Published in こんな作品つくりました

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オーストリア政府のアーティスト・イン・レジデンスプログラム[*]によって7月まで日本に滞在しているLea Titz(レア・ティッツ)氏。写真とビデオをベースに詩的表現を展開するティッツがこれまで制作してきた作品も含め、彼女の活動を紹介しよう。

あなたのバックグランドを教えてください。

私は1981年にオーストリアのグラーツという都市で生まれました。今はウィーンを拠点にアーティスト、写真家として活動しています。最初はいわゆる「普通の」写真を学びました。その後、ウィーン応用美術大学でアートを学んで、2009年に卒業しました。オーストリアのみならず、ドイツ、クロアチア、ベルギー、フランスなどで作品を展示したり、二人の作家と2冊の本を出版したり、建築写真家として活動するなど、様々な活動をしています。2002年にグラーツの写真協会を設立し、2006年にはウィーンで実験映画とアヴァンギャルド映画の小さなフェスティバルを立ち上げたりしました。

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写真左『GRAZ』, 2011, インク, アルミにシルバーゼラチンプリント, 100x100cm 他2点

アーティストとして活動しようと思ったきっかけは何ですか?

常にあらゆるものから深く影響を受けているのは誰しも同じだと思いますが、私がアーティストとして活動する際に重要なきっかけとなったのは、アートに縁の深い家庭環境にいたということです。創造性や社会問題に特化した学校に通ったことや、母の親友が写真家だったこともあって、メカニカルなアートを学ぶようになったんです。また友人からウィーンでアートを学べとひっきりなしに薦められたことも理由の一つです。

これまでどのような作品を制作きましたか?

写真やビデオなど、様々なメディアを利用した詩的でコンセプチュアルな作品を発表してきました。

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写真左『Io』 2005, アルミにシルバーゼラチンプリント, 100x100cm
写真右『Jupiter2005, アルミにC-Print, 100x100cm

『ALB』Wendelin Pressl & Lea Titz、
ダッハシュタイン山塊(オーストリア), 2005, Video, 4分30秒
ティッツが一番最初に制作した映像作品。映像作品の中では、本人がもっとも気に入っているという作品。

『TUMBLEWEED』2006,Video, 2 分

創作活動の中で最も重要なポイントは何ですか。

作品を制作する際には、作品に3つの異なるレイヤーを重ねることを大切にしています。ある程度の詩的な外観と、私自身にとってチャレンジとなるような新しい発想、あるいはやってみたらいいと思うようなテクニカルな手法、そして私自身の哲学的なステートメントです。どちらかというと、ライターと一緒に仕事をしていたり、テキストを書いている時にアイデアが出てくることが多くて、こうした機会を大切にしながら、自分自身のテキストを作品に含めたりもします。

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Watch oder der rosa Müßiggang
2010、時計、紙片、各5 x 6 cm

日本でのレジデンスプログラムに申請した理由を教えてください。

とても表層的なレベルですが、ウィーンで私が触れることのできた日本文化は、私がどのような作品を作りたいか、またどのように世界を見ているのか、ということにとても密接につながっていたように思いました。細かな物事への感謝や、結果だけではなくどのように物事がなされたのかというプロセスの重視、非常に小さな空間における相反する要素(静寂と喧騒、緩と急、表層と深淵など)の共存です。また、伝統的なアートや建築にある、余計な要素が切り捨てられた直線的でミニマルなスタイルが好きですし、こうした相反こそが楽しみでもあります。

次の制作に向けて東京での滞在中に何かインスピレーションを得ましたか?

実に多くのインスピレーションを得ました。最初は言葉を理解することも読むこともできず、人々の顔の表情を読みながら、どのように振る舞うべきか学び、どのように所作すべきか真似ていました。そしてようやく幾つかの言葉をしゃべるようになり、数や時間の表現を理解し、荒川区にある日本語の学校へ通い、行きたい場所に難なく移動して、場違いな振る舞いをせず、初めての友達ができたりと、日本滞在はまさに二度目の幼少期を体験しているかのようです。
そんな滞在の中で、1〜3分程度のとても短い映像を400点ほど撮りためました。それらはどちらかというとノートのメモ書きのようなものです。なかには長編用の映像に使うものもあるでしょうし、アイデアやインスピレーションを呼び起こしてくれるものもあるでしょう。また、私のためにヨシダナオさんがマンガを描いてくれました。彼女とは何かしらのコラボレーションができればいいなと思っています。東京での経験はとても貴重でした。

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© Nao Yoshida 2013 (Detail)

今後の活動について聞かせてください。

ウィーンに戻ったら進めるプロジェクトがいつくかあります。まず高さ1.5mの彫刻作品を仕上げることと、東京で集めた素材をまとめつつ、2014年に予定している個展のプランを立てます。基本的にはビデオや写真を用いながら、しばらくは文学とつながりのある作品にフォーカスする予定です。

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Lea Titz(レア・ティッツ)
1981年オーストリア・グラーツ生まれ。ウィーン応用美術大学でアートを     学び2009年に卒業。ウィーンを拠点にアーティスト、写真家として活動し、    ビデオや写真といったメディアを活用した詩的表現を展開する。
www.leatitz.com

 

 

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[*]オーストリア政府による アーティスト・イン・レジデンスプログラムについて(東京都荒川区)

オーストリア政府文化省は、オーストリアの若手アーティストを東京に6ヶ月間滞在させ見聞を広める機会を提供するために、長年にわたり荒川区に小さな邸宅を借り受けている。 本国の審査され推薦を受けた若手アーティストは滞在のための奨学金も助成される。このプログラムは日本に限らないが、基本的な方針は、有望なアーティストが見聞を広め、異文化の背景を学び制作する機会を提供すること。日本のアーティストやアート関連の機関・施設と交流を図り、日本のプロジェクトに積極的に関わることを奨励している。これまで非常に多くのアーティストが参加し、コラボレーションプロジェクトを多数生み出しており、広い意味で日本とオーストリアの文化交流や対話を促進している。荒川区はオーストリアとの長期的な友好関係により在日オーストリア大使館に協力し、来日するアーティストを好意的にサポートしている。

取材協力:オーストリア大使館/オーストリア文化フォーラム