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[コラム] 平川紀道個展「a static constant」開催/上海ONE

August 5th, 2012 Published in レビュー&コラム

アジア、特に中国のアートマーケットが急激に成長し、日本のギャラリーが中国にも進出し、日本の作家を積極的に紹介するようになってから久しい。中でも上海はその中心都市であり、今年はすでに9回目となるビエンナーレが開催される。世界から多くの関係者が足を運ぶことだろう。

その上海に、ウェブサイト制作を主軸に多彩な活動を展開するイメージソースが運営するフリースペース「ONE」がオープンした。今後は、展覧会やイベントの開催を通じて、上海と日本の架け橋となる文化発信を行うことを目的としているという。そのこけら落としとなるエキシビションには、昨年の11月にDEPARTUREで新作を紹介した平川紀道さんが選ばれた。

2012年8月18日(土)より個展「a static constant」が開催される。タイトル「a static constant」はプログラム用語の「static const」に由来するという。これはプログラム上において、ある値の扱われ方や性質を定義すること。プログラムの最初に宣言する必要があり、なおかつプログラムが動いている間は変更ができないという値だ。

展示では、本サイトで紹介した《a lower world》や2010年に発表された映像作品《the irreversible》、ほか新作も予定されている。

会期は8月28日までの10日間と短いため日本からの来場はなかなか難しいかもしれない。しかしながら、国内だけなくヨーロッパでもその作品のクオリティーが高く評価される平川さんの作品が上海のクリエイティブシーンにはどのように映るのか、その反応は注目したい。

《the irreversible》(2010年)
パラレルワールドをある地点から切り取った映像。2秒間の不可逆な運動の映像シーケンス1024本を巻き戻して上映する。

a lower world

《a lower world》(2011年)
購入された時刻によって内容が異なる、オンデマンド生産のアートブック。パラレルワールドにおけるシュミレーションを展開し、本が購入された時刻を元に異なる演算を行うため、全ての本に異なるディティールが与えられる。

 

『ここ数年、「宇宙の全てが素粒子間のインタラクションで記述できる」、宇宙=量子コンピュータ、という考えに取り憑かれていますが、もしそうであったとすると、現在見つかっている物理定数は、宇宙の始まりの時点であらかじめ決められて、永遠に変わる事のない数字ということになるのかも知れません』(平川)

 

平川紀道 | Norimichi Hirakawa

1982年生まれ。コンピュータ・プログラミングによるリアルタイム処理を用いた映像音響インスタレーションを中心とした作品群を国内外の美術展、メディアアート・フェスティバルで発表。2004年度文化庁メディア芸術祭優秀賞、 アルス・エレクトロニカ2008準グランプリほか受賞多数。池田亮司のコンサート・ピース制作への参加、大友良英+木村友紀+ベネディクト・ドリューとのコラボレーション、ミラノ・サローネでのレクサスのアートエキシビションへの参加、Typingmonkeysとしてのライブ・パフォーマンスなど、活動は多岐にわたる。

http://counteraktiv.com

–  概要 –

平川紀道 個展「a static constant」

会期:2012年8月18日(土)~28日(火)
時間:13:00 – 19:00
入場料:無料
住所:上海市静安区江宁路831号5号楼201室
連絡先:+86 (0)21-3131-7023
主催・運営:IMG SRC Shanghai
企画:IMG SRC Shanghai、A4A
キュレーション:A4A

– オープニングレセプション、トークショー

日程:2012年8月18日(土)
時間:18時~21時
19時よりアーティストによるトークショー
参加希望者:pr@imgsrc.co.jpまで要連絡(締切:8/15)

●お問い合わせ先
イメージソース/A4A
E-mail:info@a4a.jp




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