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[コラム]《MIRAGE》代替現実×アート

August 9th, 2012 Published in レビュー&コラム

代替現実(Substitutional Reality : SR)という言葉がある。

なんでも映画「マトリックス」や「インセプション」は、このSRをモチーフにした映画だという。これらの映画は、SF映画と言われる通り、フィクションであり、SRを実現させることは不可能だった。だが、このSRがシステムとして、理化学研究所 脳科学総合研究センター適応知性研究チームによって開発され、実現されたらしいのだ。

SRシステムは、あらかじめ記録し編集しておいた過去の出来事を、今まさに目の前で生じている現実であると体験者に信じさせること、あるいは両者を区別なく体験させることを可能にしたという。

信じさせるという言葉になかなか怖さがある。

さらに解説によると、「仮想現実(VR : バーチャル・リアリティ)や拡張現実(AR : オーギュメンテッド・リアリティ)は、SR 状態を実現することが目的の1 つであるが、その環境での体験を体験者に現実だと信じ込ませることができず、それを実現したのがSR システムである。現実からつなぎ目なしに過去の映像を与えることで、過去と現実の境界を無くし、全てを目の前で起きていることのように経験させることに成 功した。脳科学の観点からみると、SR システムによって、これまで不可能だったさまざまな認知実験が可能となった。」とのこと。

このSRシステムを用いた体験型パフォーマンス《MIRAGE》(ミラージュ)が発表される。

《MIRAGE》(ミラージュ)は、アートパフォーマンス・グループ「グラインダーマン」、音楽家・サウンドアーティストevalaと理研の研究者たちが、SRシステムの可能性を探り、その新たな展開として作り上げた体験型のパフォーマンスアートだ。公開されるのは8月24日、25日、26日のたった3日間。日本科学未来館がその舞台となる。

限られた人数しか体験できないこの作品は、体験だけでなくその様子を観客としてみることも可能だという。

約6m四方の白い空間に居るのは、1人の体験者と1人のダンサー。ヘッドマウントディスプレイとヘッドフォンを装着した体験者は、音、光、そしてダンサーの身体が織りなす約10分間をとおして、 現在と過去を行き来する世界を体感する。

ヘッドマウントディスプレイ(HMD)-目線の位置に付けたライブカメラからの視界および、あらかじめ同じ場所で撮影した過去の視界を織り交ぜて表示する。パノラマカメラによる全方位の記録映像と、モーションセンサーを用いることにより、体験者は過去の視界の中でも現在と同じように自由に周りを見渡すことができる。その状態で、過去と現在の視界をスムーズ切り替えると、体験者の主観的な認識そのものは切り替わることなくひとつながりのものとして続いていくため、体験者は現在体験しているシーンが過去なのか現在なのかを認識することができない。

 

「現実を操作する。」その技術がどのようにアートと親和するのだろうか。

 

–  公演概要 –

「MIRAGE」
◎日時:8 月24日( 金)25( 土)
公演:11:00より16:30まで各回15 分ごと
ショートトーク:13:30 、16:30( 各回30 分、予約不要)
◎8 月26日(日)
公演:11:00より15:00まで各回15 分ごと
アフタートーク:15:00~16:30( 要予約)
◎ 参加費:無料
◎ 会 場:日本科学未来館7 階  イノベーションホール

◎ 参加法:参加方法には「体験」と「観覧」の2 種類があります。
[ 体験]1 回の公演につき1 人の体験となります。希望者は予めMIRAGEの公式ウェブサイトからの予約が必要です。体験時間は約1 0分間です。高校生以上という年齢制限があります。
[ 観覧]体験者がMIRAGE を体験している様子を、体験者の背後にある観客席から観覧できます。予約は不要ですが、未就学児の参加はご遠慮下さい。

構成/ 演出=タグチヒトシ(GRINDER-MAN)
振付/ 出演= 伊豆牧子(GRINDER-MAN)
出演= 松本大樹、京極朋彦、立石裕美
音楽/ サウンド・デザイン= evala(port 、ATAK)
サウンド・プログラミング= 石井通人(buffer Renaiss)
サイエンスディレクター= 藤井直敬( 理化学研究所 脳科学総合研究センター)
S Rシステム・デザイナー= 脇坂崇平( 理化学研究所 脳科学総合研究センター)
S Rシステム・オペレーション= FAN Kevin / 上野道彦/ 石黒祥生/ 樋口啓太
舞台監督= 浜村修司
照明= 藤原康弘
主催= 独立行政法人理化学研究所、GRINDER-MAN
共催=日本科学未来館
協賛= 株式会社コーチ・エィ、Shiojiringアートフェスタ
企画= 株式会社イッカク、有限会社エピファニーワークス
制作/ 運営=ハイウッド

*詳細なスケジュールと予約方法は公式ウェブサイトへ→http://mirage.grinder-man.com/