エキソニモによる天地創造をイメージした新作インスタレーション『神・ヒト・BOT』
October 21st, 2014 Published in こんな作品つくりました
奈良県立美術館で10月18日から始まった「大古事記展」において、国宝や重要文化財を含む歴史的な展示が多くあるなかで、“未来へ語り継ぐ古事記”のコーナーでは、トーチカ、山口藍、エキソニモの3組の作家が「古事記」にインスピレーションを得た新作を展示している。
エキソニモは、古事記のシーンをそのまま再現するのではなく、今の自分たちのリアリティに根ざして、神と人とロボット、天地創造のイメージで新作を制作している。作者自身によるコメントを紹介したい。
『神、ヒト、BOT』エキソニモ
古事記は、当時の先駆的な人たちにより、中国語を元に開発された最新技術である「書き言葉」を使い表現された、当時の最先端テクノロジーに根ざしたコンテンツです。もし今、古事記を生み出そうすれば、現代の技術を駆使するに違いありません。私たちエキソニモは今回、世界の始まりや神のような超越した存在を、現代の技術で語ることとはどういうことなのか、と考えました。
そして、古事記で描かれている、神々や人々がおおらかに交わる世界観や、一見シュールであったり、グロテスクであったりする描写からインスピレーションを得て、コンピューターと人間が融合しつつある現代と未来に向けて、新しい神話の序章を始めるための、ことばと心の宿るアイコンとしての身体と天地をイメージし、作品を制作しています。
映像と液晶モニタに直接ペイントして、人間とコンピュータ・デバイスが新しい身体として並置された状態のポートレート作品。ある種、神々しいビジュアルの作品で、それが人なのか神なのか、何なのか、感覚に突きつけられるような感じがしています。
男女の声で喋りながら、自動的に動きまわる地球儀です。今回初めてRaspberry PIを使ってみました。音声合成に無意味な母音の羅列を連呼させています。2つの作品ともコミュニケーションを断絶するようなちょっとした距離感を持っていて、その距離感が神や、太古の日本人に感じる距離感とも近いのかなと思っています。
エキソニモ
怒りと笑いとテキストエディタを駆使し、さまざまなメディアにハッキングの感覚で挑むアートユニット。千房けん輔と赤岩やえにより1996年よりウェブ上 で活動開始。2000年より活動をインスタレーション、ソフトウェア、デヴァイス、ライヴ・パフォーマンス、イヴェント・プロデュースなどへと拡張し、デ ジタルとアナログ、ネットワーク世界と実世界を柔軟に横断しながら、テクノロジーとユーザーの関係性を露にし、ユーモアのある切り口と新しい視点を携えた 実験的なプロジェクトを数多く手がける。国内外の展覧会やフェスティバルで活躍。2006年、『The Road Movie』がアルス・エレクトロニカのネット・ヴィジョン部門でゴールデン・ニカ賞を受賞。2010年、『ANTIBOT T-SHIRTS』がTDC賞でRGB賞を受賞。