[コラム] 東京ステーションギャラリーで10月1日より開催『始発電車を待ちながら』
September 10th, 2012 Published in レビュー&コラム
10月1日。東京駅が復原工事を終え、リニューアルオープンする。
2007年から6年半もかけた大掛かりなリニューアルだ。すでに工事のための覆いは取り払われ、私たちが日常的に見慣れたミニマルで見上げるような高さの建造物でなく、1914年の創建された独特の佇まいが丹精に再現された東京駅の新しい外観を見つけることが出来る。
このリニューアルに合わせて、長らく休館を余儀なくされていた東京ステーションギャラリーも再始動する。東京駅復原工事完成記念としてこけら落としとなる展覧会『始発電車を待ちながら-東京駅と鉄道をめぐる現代アート9つの物語』がいよいよ10月1日より開催される。
東京ステーションギャラリーでは、1988年の開館から2006年に休館するまで105本のさまざまなジャンルの展覧会を開催してきたという。サイトをみても、近現代の作家や一時代に焦点を当て、絵画・版画作品を中心に本館ならではの独自の視点と企画力を持って、定期的に展覧会を開催していたことが分かる。(注:2006年以降は旧新橋停車場鉄道歴史展示室での展示内容)だが、今回の『始発電車を待ちながら』には、東京ステーションギャラリーではなかなか扱われてこなかったタイプの作品と作家が登場する。活発に作品を発表し続けている現存の作家が起用され、空間を大きく使用するインスタレーションやメディアアートそして芸術の新しい解釈、表現を模索するような作品がこの展覧会のために準備されている。これまでの展覧会との違いに違和感を持ってしまうファンもいるのかもしれない。だが、既存のイメージに捕われず、むしろそれを意欲的に裏切り、作家と展覧会を作り上げることによって、これからのアートの可能性を共に提示するような企画は、これから再始動を始める東京駅には相応しいのではないだろうか。まるでタイトルのように、そこには始発電車待つような、まだ先が見えない高揚感を感じてしまう。
本展では9人(組)の作家による「東京駅」あるいは「鉄道」から発想された作品が展示されるという。
鉄道を発想源にした、あるいは鉄道を使うことから生み出された作品を出展するのは4人(組)。
そして、東京駅をモティーフにした作品を発表するのは5人(組)。
伝統ある空間で、最新の表現と出会える展覧会が幕を開ける。新しい時代を迎える東京駅の再始動を、これからの表現を担う作家たちが盛り上げてくれることだろう。
会期は来年2月24日までと5ヶ月間あるので、10月1日に焦って詰めかける必要はないようだ。東京駅を利用した際、ふと立ち寄ってみてはどうだろうか。創建当時のそのままのレンガを館内で探す気分で、それそれの作品の楽しみ方を見つけてほしい。
東京駅復原工事完成記念展
始発電車を待ちながら Waiting for the First Train
-東京駅と鉄道をめぐる現代アート9つの物語
[会期]
2012年10月1日(月)~2013年2月24日(日)
[開館時間]
平日 11:00~20:00
土・日・祝 10:00~18:00
※入館は閉の30分前まで
※開館初日(10月1日)は10:00~14:00の特別開館日となります。
[休館日]
毎週月曜日 [ただし10/1、10/8、12/24、1/14、2/11を除く]
10/9㊋、12/25㊋、12/29㊏~1/1㊋、1/15㊋、2/12㊋
[入館料]
500円 [オープン記念料金]
※中小生以下無料
※20名以上の団体は100円引
※障がい者手帳等持参の方は100円引、その介添者1名は無料
注!!→10月1日から当面入館時間帯を記載した整理券を東京ステーションギャラリー入口で当日配布。
[配布時間]
10月1日:午前4時30分より
10月2日以降 平日:午前10時より、土日祝日:午前9時より
※一人一枚。各日ともなくなり次第終了。
[主催]
東京ステーションギャラリー[公益財団法人東日本鉄道文化財団]
[出品作家]
秋山さやか、大洲大作、クワボリョウタ、柴川敏之、パラモデル、廣瀬通孝、廣村正彰、本城直季、ヤマガミユキヒロ
[公式サイト]
http://www.ejrcf.or.jp/gallery/
[プレスリリース]
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