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[フェス] Mediacity Seoul 2012

September 19th, 2012 Published in 世界のフェスティバル

韓国、ソウルでメディアシティソウル2012(Mediacity Seoul 2012)が9月11日(火)から始まった。

テクノロジーが躍進する都市ソウルのイメージの打ち出していくことを目的に、2年に一度開催される国際的なメディアアートの祭典だ。総勢50組のアーティストが参加し、ソウル市立美術館DMCギャラリー(digital media city gallery)をメイン会場に作品が紹介される。

常設されたナムジュン・パイク《Seoul Rhapsody》の前で行われたオープニングの様子

今回のメディアシティソウルでは、これからの世界と社会のビジョンを想像する方法を2通り提案するという。

最新の技術とソーシャルメディアを使った今日のシステムや製品が、私たちのコミュニケーションをどうに変化させているのかを示すことがその一つ。そして、私たちの未来を改めて考えてみることで、アートとテクノロジーを捉え直し、そして新しい生き方を見いだそうとする提案だ。しかしながら、この具体的な提案とは相反するように、今回のテーマには「Spell (呪文、魔法)」というキーワードが登場する。

7回目となるメディアシティソウルのテーマは、 ‘Spell On You’ 。

‘Spell On You’ (呪文をとなえる、魔法をかける)は、1956年に発表された Screamin Jay Hawkins 〈I put a spell on you〉の歌詞からのフレーズだ。このフレーズをテーマとして命名したのが、今回ディレクターをつとめるJinsang Yoo 氏。ソウルを拠点に批評家、キュレーターとして活躍する同氏を中心に、3名のキュレーターが集められ ‘Spell On You’ は準備された。東京を拠点としながら国際的に活躍するメディアアートキュレーター四方幸子氏、オランダのTodaysartのディレクターOlof van Winden氏、そして韓国アートセンターnabi のクリエイティブディレクターをつとめながら現在はニューヨークのパーソンズ大学に籍をおくDooeun Choi氏だ。

プレス会見で登壇するキュレーター陣。左から、Jinsang Yoo、 四方幸子、Olof van Winden、Dooeun Choi

オープニング当日、開会準備を終えたばかりのJinsang Yoo 氏と話をすることが出来た。

Q: 3名のキュレーターとはどのようにこのテーマを共有したのでしょうか。

昨年になりますが、この展覧会のためにシンポジウムを開催しました。シンポジウムのテーマは「New Media Art: New Issues and Situations(ニューメディアアート;新たな問題と状況)」でした。私は、この10年間でメディアアートが衰えてしまったように感じています。人類にとって大きな問題、災害や環境問題、経済危機、戦争といった問題を前に、メディアアートに対する関心や問題意識がいつしか消え失せてしまったのではないでしょうか。一方でgoogle、apple、facebookといった企業は、これまでより一層クリエイティブに活動しているように思います。そういった意味でもメディアアートのパワーが弱くなっていると感じたのです。このような状況で、今回の展覧会ではどんなテーマが選べるのか、そして納得できるテーマとなるのかを考え、悩みました。先のシンポジウムのプレゼンテーションを通じて選ばれた3人のキュレーターとはメール上でやりとりをしながら、まず現状の問題点を列記していきました。そうするうちに、私は、韓国の人々はSNSに対して非常に高い関心を持っていることに気がつきました。様々な意見が交わされるなか、アーティストの候補もリストアップされてゆくうちに、今回のテーマには、環境を取り巻く問題点とバラエティーに富むアーティスト候補をまとめるような言葉が必要だと感じました。そして、突然、ニナ・シモンの歌う曲が頭をよぎったのです。それが〈I put a spell on you〉です。

”Spell ”は呪文、魔法という意味です。魔法の力が使えれば、相手を如何ようにでもコントロールすることが出来きます。 ‘Spell On You’ というテーマには主語はないのですが、主体をテクノロジーとして仮定することが出来ると思います。そして you は私たちなのです。私たちは、現在テクノロジーによって魔法をかけられているのかコントロールをされているのか、いろいろな捉え方が可能です。ですからテーマは初めからあったのではなく、最終的につけられたんです。

Q: どのように展覧会を楽しんでほしいですか?人によっては初めて接するタイプの作品もあると思いますが。

誰でも見に来てほしいです。会場に来てもらえたら、あとは楽しんでもらえると思っています。韓国の人々はコミュニケーション方法の変化を感じていると思います。この展覧会に来ることで、その変化を改めて考えてみるきっかけになればいいと思っています。また、メディアアートにあまり接することのないアーティストもこの展覧会に来てほしいですね。この展覧会が一種の触媒となり、新しい反応や捉え方が生み出されることを望みます。今回の展示にはメディアアートの作品も、そうではない現代美術も含まれています。ですが、見に来る人にとってみれば、メディアアートか伝統的な芸術作品なのかということは関係ないですよね。たくさんの捉え方を自由に楽しんでもらいたいと思います。

Q: プロジェクト全体を通じてコメントをお願いします。

改めて、今回日本のアーティストと一緒に展覧会を作りあげられたのは本当に素晴らしい経験でした。誰もが本当にプロフェッショナルで、技術、経験とも完璧だと感じました。一方で独自の文化を共通して持っているとも感ました。そういった日本からのアーティストを中心に四方さんは完璧にキュレーションをしてくれたと思います。自分はメディアアートの専門ではないので、四方さんを含む3人のキュレーターと一緒に仕事を出来たことを本当にうれしく思っています。

会場となるソウル市立美術館。初日にはパフォーマンスが行われた。

Jinsang Yoo 氏のコメントにも登場したが、今回の展覧会には日本人作家が多く含まれている。では、その展覧会の構成を写真と合わせて紹介してみよう。

メイン会場となるのがソウル市立美術館だ。一部常設スペースを除く3フロア全てに作品が展示されている。

観客を出迎えるのは本サイトでも紹介した菅野創+山口崇洋《SENSELESS DRAWING BOT》
昨年発表された三上晴子《Eye-Tracking Informatics》 も広い空間を使って展示され、体験可能となっている。

double Negatives Architecture[dNA]《Super Eye to see the world》をデモンストレーション頂いたのは今回の共同キュレーターである四方幸子氏。

展示フロア2階には、Devid Bowen 《fly tweet》。韓国産の蠅がツイートをし続ける。そしてこの階には、日本でも幾度となく紹介されているクワクボリョウタ《十番目の感傷》exonemo《DesktopBAM》が続く。

3階では、贅沢な大型インスタレーションを見ることができる。一つは池田亮司《data.matrix [nº1-10] 》、そして真鍋大度&石橋基《Particles》だ。

踊り場では、インスタントカメラならぬインスタントフィギュア製造機のblablabLAB《Be Your Own Souvenir》が展示。フィギュア化されるためのポーズをとる参加者がまた鑑賞者の被写体となり、緩やかにコミュニケーションを生み出す。そしてこの会場を締めくくるのは、ニューヨーク近代美術館での大回顧展が記憶に新しいマリーナ・アブラモヴィッチの初期の代表的なパフォーマンス作品《Art Must Be Beautiful / Artist Must Be Beautiful 》だ。

 

展示は、タクシーを使って20分ほどの離れたDMCギャラリーに続く。夕方からファサードに映像作品が映し出される。公式サイトには、他サテライト会場も紹介されている。全ての展示をじっくりみるとなると2日間は欲しいところ。

なかなか一度の機会に鑑賞することが難しい豪華な日本人アーティストが参加をした今回のメディアシティソウル。ソウルまでは、東京からはフライトで2時間半。贅沢な機会をお見逃しなく。会期は11月4日まで。

 

第7回ソウル国際メディアアートビエンナーレ

メディアシティソウル2012(Mediacity Seoul 2012)
-Spell On You-

期間:2012年9月11日(火) ~ 11月4日(日)
会場:ソウル市立美術館DMCギャラリー(digital media city gallery)
料金:無料
web:http://www.mediacityseoul.kr/(韓国語、英語)

主催:ソウル市