札幌国際芸術祭2014 – vol.3 北三条広場〜北海道庁赤れんが庁舎
July 22nd, 2014 Published in 世界のフェスティバル
vol.2で紹介したチ・カ・ホには地上に出られる10個の出口があり、それぞれ分かりやすく大きな数字で表示されている。その2番出口から地上に出たところが北三条広場だ。広場には重量感のある大きな石がどっしりと置かれている。これは島袋道浩の新作『一石を投じる』で、北海道南部の二風谷から札幌市内に運ばれた石。芸術祭のオープニング時期には道庁前の北三条広場で公開され、会期中は市内数カ所を移動する予定だという。
この広場からまっすぐ西に進む先に見えるのが北海道庁赤れんが庁舎だ。ここではエキジビション:赤れんが特別展示「伊福部 昭・掛川 源一郎」展が開催されている。その展示の様子をご紹介しよう。
今回の芸術祭で展開される多様なプログラムでは、日本の近代化の象徴として北海道をとらえ、その様々な歴史を記憶することが共通したテーマの1つとなっている。この会場では、北海道に縁の深い2人の重要な先人の文化的功績に光を当てた展示が行なわれている。展示されているのは、室蘭市に生まれた写真家の掛川源一郎(1913-2007)と、釧路市出身の日本の現代音楽を代表する作曲家で、ゴジラの映画音楽で知られる伊福部昭(1914-2006)に関連する作品や資料だ。会場では、1995年公開の映画『ゴジラ対デストロイア』の楽譜も展示されている。
伊福部氏と掛川氏の双方に共通しているのは、アイヌ民族の生活や文化との関わり。子どものころにアイヌ民族の生活・文化に触れたことで楽曲に影響を受けた伊福部と、リアリズム写真に影響を受けながらアイヌ民族の生活・風俗・自然や近代化する北海道を凝視し続けた掛川。この二人の展示によって、芸術祭のテーマ「都市と自然」の背景にある近代と現代が結びつけられている。
赤れんが特別展示「伊福部 昭・掛川 源一郎」展
日 程 :2014年7月19日(土)-9月28日(日)
時 間 :8:45-18:00
担 当 :飯田 志保子(アソシエイト・キュレーター)
会場デザイン:オリバー・フランツ(silent. 創始者)
企画協力:小室 治夫(掛川源一郎写真委員会代表)
次回は赤レンガ庁舎から西に7ブロックほど離れた大通り公園内にある札幌市資料館の展示をご紹介しよう。
札幌国際芸術祭2014 紹介レポート一覧
vol.1 本日より開幕!開催テーマは「都市と自然」
vol.2 札幌駅前通地下歩行空間(チ・カ・ホ)
vol.3 北三条広場〜北海道庁赤れんが庁舎
vol.4 札幌市資料館
vol.5 島袋道浩作品その2〜北海道立近代美術館
vol.6 札幌芸術の森美術館
vol.7 清華亭(毛利悠子『サーカスの地中』)
vol.8 モエレ沼公園
vol.9 札幌大通地下ギャラリー500m美術館
vol.10 イベント紹介